内視鏡下手術

内視鏡下手術について

胸部の手術は、従来は大きくメスで切り開いて、手術術野を大きく確保して手術を行っていました。すなわち外科医のストレスが少なく、安全を重視する手術スタイルをとっていました。しかし、最近ではできる限り術後の痛みが少なく、早期に退院できる、患者さんのQOL(生活の質、Quality of Life)を考慮した手術スタイルがとられるようになってきました。その手術の先鋒となっていますのが内鏡視下手術、呼吸器外科では胸腔鏡下手術です。胸腔鏡下手術は、従来の手術とその手術内容、すなわち腫瘍の切除などは同じですが、その腫瘍に到達するアプローチが異なるということです。胸腔鏡のカメラや手術器具の挿入のために1 cm程度の傷が胸部に3、4カ所できるだけで手術が終了します。しかし、この胸腔鏡下手術は、全ての呼吸器外科対象疾患に使用可能ではなく、現在では、良性疾患と一部の悪性疾患にしか適応されていません。また、良性疾患でも安全性の確保や腫瘍の大きさなどにより小さな切開では不十分で、小切開(4-5cm)を加える胸腔鏡補助下手術
(VATS, Video Assisted Thoracic Surgery)が多く採用されています。

胸腔鏡下手術は、良いところばかりではありません。外科医にとってストレスの多い手術です。その手術の習熟にはかなりの修練を要します。また、胸腔鏡下手術から通常の開胸手術へ移行する場合もあります。すなわち、外科医の卓越した機敏な術中判断が必要で、従来の標準手術にも手慣れていなければなりません。疾患によっては従来の開胸法が安全でより良い場合もあります。手術が安全に行われて初めて患者さんが恩恵に浴するのです。鏡視下手術のメリットとデメリットを十分に理解され、手術を受けられることをおすすめします。

【内視鏡下手術】

プロフィール

1951年生まれ。
1977年 北里大学医学部医学科卒業、
同年大阪大学第一外科医員。
大手前病院、奈良県立医科大学、大阪医療刑務所病院法務技官、国立呉病院、大阪府立病院、大阪警察病院呼吸器外科部長、大阪警察病院呼吸器外科客員部長、聖授会OCAT予防医療センター所長を経て現職。
1997年世界で初めて胸骨をつり上げた胸腺の内視鏡下手術を開発。
1999年内視鏡下手術の安全性をより高めるために、ハンドアシストを併用した胸腔鏡下手術法を発表。
重症筋無力症や縦隔腫瘍に対する胸腔鏡下手術の第一人者。
日本呼吸器外科学会終身指導医・特別会員、日本外科学会認定医、日本胸部外科学会終身指導医、日本小切開・鏡視外科学会設立理事、日本医師会認定産業医。

手術・医療相談

全国の医療施設で診断されました肺腫瘍や胸腺腫瘍の患者さんの画像再診断や今後の手術(内視鏡下手術)のご相談を行っています。すでに確定診断されました重症筋無力症患者さんの内視鏡下手術治療法のご相談も行っています。画像再診断や手術法のご相談を承っています。

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